ザ・クロマニヨンズ 2006.12.21@SHIBUYA-AX [LIVE REVIEW]

2005年11月のザ・ハイロウズの活動休止宣言後、ヒロトはソロとして「真夏のストレート」や、スカパラとのコラボによる「星降る夜に」などをリリースしたが、2006年夏に突如、旧知のマーシーとともにザ・クロマニヨンズを結成。ファン待望のバンド活動を再開した。今回レポートするライブは、彼らにとって初めての全国ツアーの都内における最終日。三ヵ月に渡るツアーの締めくくりというべきステージだ。

「ザ・クロマニヨンズ出現!! ツアー」
(2006.12.21/SHIBUYA-AX)

“類人猿からロッケンロールという衝撃を受けて進化した新人類クロマニヨンズを知りたいですかぁ! 本物のロッケンロールと出会いたいですかぁ〜!”そんなスタッフの思わせぶりな前口上に、開演前から早くも盛り上がりを見せる観客たち。ヒロトとマーシーが一緒にステージに立つ姿は二度と見られない、と思っていたファンにとって、今回のツアーには特別な思い入れがあるのだろう。オールスタンディングの一階席は、すでに息ができないくらいの熱気に包まれている。まもなく、原始人のようなうめき声&雄叫びの中、メンバーが登場。それだけで会場は揺れる。
 いきなりザ・クロマニヨンズのテーマというべきオープニング曲の「クロマニヨン・ストンプ」が始まり、怒濤のように「キラービー」「グレート」「やわらかい」といったノリのいい曲が続く。ヒロトはお馴染のライダースにブラックジーンズ姿、クレージーなダンスも相変わらずだ。「連結器よ永遠に」では、激しく腰を振り、マイクを舐め回し、ヒロトはいつも以上にハイテンション気味で楽しそうだ。


 サウンド的にはザ・ハイロウズ時代と、さほど大きな違いはないものの、よりシンプルで武骨なロックバンドへと変貌を遂げたといった感じだ。ちなみに、クロマニヨンズの曲は、ほとんどがノリのいいロックンロールナンバーで、歌詞も短く超シンプル。しかし、そこにはロックンロールが持っている初期衝動やパワーが、これまで以上にみなぎっている……。

 クロマニヨンズ結成のきっかけにはこんな逸話がある。ザ・ハイロウズ解散後、スタジオに籠っていたマーシーのもとに、ある日、ヒロトが訪れ、“オレ、アナーキー・イン・ザ・UKのドラムを完全コピーしたよ”と、いきなりドラムを叩き始めたという。マーシーはその時、それに合わせてうまく弾けなかったため、その日の晩に早速ピストルズをコピーし、後日、再びセッション。そんな出来事をきっかけに、バンドで演奏することの楽しさを改めて感じ、“またバンドやろうぜ!”という運びになったとか。
 まるで、ギターを手に入れたばかりの中学生のような初々しいエピソードではないか。ロック界のカリスマと呼ばれる40歳を過ぎた二人が、結局行き着いたのが、「心からロックを楽しむ」というスタンスだった。人類の祖先を意味するクロマニヨンズというバンド名も、原点回帰、先祖返りを表していると言っていいだろう。

 中盤に演奏された「くじらなわ」では、観客から【ひっぱる】お題、“こたつ”や“おもち”のキーワードをちょうだいし、替え歌にして歌うサービスぶりを発揮。合いの手や掛け声を入れやすい歌が多いのもクロマニヨンズの楽曲の特徴で、パンクバンドならではの“オイ!”の掛け声のなか、オーディエンスとステージがどんどん一体化していく。今回のステージでたびたびヒロトの口から出た“われわれはロックンロール、それだけをやるためにここにやってきました!”“俺は楽しいぞ!みんなも楽しんでくれ”というMCが、今のクロマニヨンズの立ち位置を象徴しているように感じられる。

 もちろん勢いだけのバンドではない。聴かせどころもしっかり心得ていて「渋滞」「草原の輝き」では、ヒロトのブルースハープとマーシーのギターの息の合った掛け合いが炸裂。また「あるくチブ」では、ツインバスドラを駆使したパワフルなドラムソロも披露された。数多くのパンクバンドを渡り歩いてきたnilのベーシスト小林勝と、Gargoyleのドラマー桐田勝治のうねるような重いリズムの上を、フロントマンであるヒロトとマーシーが自由に飛び回っているといった感じだ。


 あっという間に時間は過ぎ去り、シングル曲としてリリースされた「タリホー」でステージは幕を閉じた。しかし、当然のことながらオーディエンスの拍手は鳴りやまない。拍手はやがて、“クロマニヨン・オイ!”の歓声に変わり、再びメンバーがステージに登場。
 アンコールの一曲目は、アルバム唯一のバラードナンバーである「夢のロッケンロール・ドリーム」。“神様が作ったものは、いつかは壊れてしまうものばかり……”とせつない歌詞でロックンロールへの想いを歌う曲は、今回のステージでは異色だが、オーディエンスのなかには感極まって泣いている人の姿もちらほら。

 クロマニヨンズの楽曲には、さほど意味のある歌詞はないと思われるものの、“わかったんじゃない、思い出したんだ”、“楽しいのが余興なんだ、哀しいのが余興なんだ”など、はっとさせられるフレーズは相変わらず健在で、歌詞から哲学的なものを読み取ることは可能だ。しかし、たぶんロックの原点に立ち戻ったヒロトやマーシーにとって、そんな深読みは、たいした意味をもたないのだろう。歌の裏側にある意味を詮索してみたところで、二人には「関係ねえ」と笑い飛ばされそうな気もする。
 バラードのあとは「弾丸ロック」「BATMAN」と続いてライブは終了。前列に陣取ったオーディエンスがさしだす一人ひとりの手に丁寧に触れたあと、マーシーとヒロトがまるで子どものような満面の笑みで、握手を交わしたのが印象的だった。

「ストーンズのファンだっていうには、何十枚ものCD買わなきゃなんないけど、クロマニヨンズはまだ一枚しかリリースしてないし、ツアーもこれが最初。みんなにとっては、すごいチャンス。今オレらのファンになってくれれば、最初から見たって自慢できるんだよ」とヒロトはMCで語ったが、まさにクロマニヨンズの歴史は今始まったばかり。ひたすらロックンロールの楽しさを追求する彼らがどんな進化を遂げるか、この先が楽しみでならない。
●Text/中村宏覚 ●PHOTO/しばたえり


「ザ・クロマニヨンズ出現!! ツアー」
12月21日@SHIBUYA-AX


1.クロマニヨン・ストンプ
2.キラービー
3.グレート
4.やわらかい
5.連結器よ永遠に
6.エレキギター
7.まーまーま
8.くま
9.くじらなわ
10.渋滞
11.草原の輝き
12.土星にやさしく
13.あさくらさんしょ
14.歩くチブ
15.タリホー

アンコール
1.夢のロッケンロール・ドリーム
2.弾丸ロック
3.BATMAN

ザ・クロマニヨンズ

元ザ・ブルーハーツ、ザ・ハイロウズの甲本ヒロト(Vo)と真島昌利(G)が中心となって2006年に結成。ベースは現在nilの小林勝、ドラムスはGargoyleの桐田勝治。9月20日デビューシングル「タリホー」、10月25日に1stアルバム「ザ・クロマニヨンズ」をリリース。
■オフィシャルホームページ
http://www.cro-magnons.net/
●「タリホー」ディスクレビュー>>

2007-01-05 11:29  nice!(2)  コメント(1) 
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esbrain
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takahirokun
takahirokun

コメント 1

so-bo-kinlove
クロマニヨンズの結成の話は私も何かで読みましたがいかにもヒロトさんらしいなあと思いました。
「タリホー」が大好きです。
アルバム買ってずっとタリホーをループして聞いてました。
あと「くま」と「土星にやさしく」もお気に入りです。
by so-bo-kinlove (2007-01-06 19:56) 

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